エコロジカルな遊具-武蔵野大学附属幼稚園

1.土地の特性を活かした園庭リニューアル
夏休み明け、久しぶりに登園した子ども達が、
新しく生まれ変わった遊び場をぐるりと囲みました。
主事の井上先生が、子ども達に遊び場を説明。
そびえ立つ松をくるりと取り囲んだ
リニューアル木製遊具に早速登り、
下の子ども達に呼びかけます。
「ここは井上先生がごはんを食べたり
寝たりするところだからみんなは遊んじゃだめだよ。」
「え?!ずるーい!」
「うそうそ。ここは先生達も来てあげるから、
一緒に遊びに来ようね。」
昔ながらの緑に恵まれた敷地内にある幼稚園。
園舎の増築にあたり既存の木の遊具の撤去の話が
持ち上がりましたが、遊具の点検にアネビーが立ち合い、
園庭の木と合体させてこの遊具をリニューアルすることに。
また、生活水はすべて井戸水を使用しているという
園の土地の特性を活かし、
砂場に水流れを設けることになりました。
2.園の教育理念と一致した園庭
リニューアル前:既存の登り遊び遊具
リニューアル・イメージパース
リニューアル後:遊びの機能が倍増しました!
すべり台を登る園児たち
松の木に巻きつけた木登りロープで上のデッキへ。
頑張って登るとデッキへ抜けることができます。
隠れ部屋1:忍者のように隠れることも。
隠れ部屋2:イスとテーブルがあります。
お店台でごっこ遊びも楽しめます。
木の恵みをもらえる遊具と巡り合いたかった
井上先生:
この園は昭和42年にできたのですが、 ここは全部雑木林だったんです。 その中に手作りのアスレチック遊具が 十数種類もあったんですよ。
2階くらいの高さから滑り降りるロープウェイもありました。
本当に勇気が要る遊具で、先生達は
「登れるやつは勇気を もってやってごらん!」と言って…。
それを私はちょうど保育者になりたてのときに
自分で味わっていたんです。
それが平成に入る時、園舎の老朽化による立て直しで、
泣く泣く雑木林をつぶしたんです。
とてもショックで、何とかそれに代わるような、
少しでも木のぬくもりがあるような遊具を園の中に残したいと
木製遊具を幾つか作ったんです。
それからまた20年経って、園舎の増築をすることになり、
木の遊具を撤去しなくてはならないことになりましたが、
新しいものを作るとしても、鉄製の遊具ではなく、
何か木の恵みを頂ける遊具に巡り合いたいと思っていました。
でも予算もないし、たまたま遊具の点検でアネビーさんがいらして 、
『これはまだ使える!ひとつ設計して来ますから見てください』
と言って下さったんです。
そのイメージパースを見て、うちの職員が
全員一致で惚れ込んでしまったんです。
それで園長先生に、とにかく作りたいと申し上げました。
園長先生は、泥にまみれる園児を見て、泥と遊ぶ、水と遊ぶと、
子ども達ってこんなに飽きずに遊ぶんだ、
やっぱり砂場は大切という御意見でした。
それで今回の遊具と砂場のリニューアルが実現したんです。
園の教育理念と一致した園庭
この学院は浄土真宗の教えを教育理念に掲げていまして、
自然の恵みに感謝し、ひとつひとつの命を大事にし、
そして心と身体を元気に、土や水や風や木々の匂いを感じて、
過ごして欲しいという想いで、子ども達に生活させているんです。
先日の園舎の起工式の時は学院長から、
園舎が建つことでそこに棲んでいた虫や木々を、
私達人間のエゴでどいてもらって
自分達の暮らし易いものを作っていくのだから、
どいて頂いた方達に感謝の気持ちを持って欲しい
というお話があったんですね。
だからアネビーさんが、
「この学院の中の中学や高校の竣工で
伐採した木や、園舎の増築で切った木を使います。」
と言って下さったことは、
ちょうどここの自然を大事にする教育理念と
非常に一致していたと思います。
いろいろな業者さんにガチャポンプやログハウスを
勧めて下さっていますけど、
どうもそれだけでぽんと設置することにすごく違和感があって、
どこの砂場もログハウスもイエスといえなかったんです。
ところが、今回はすごく園庭環境にマッチして、満足しています。
3.園服が汚れているほど遊び込む場所があるということ
-園舎の増築にあたりお母さんたちが園庭が
狭くなることを心配されたとお聞きし、
意識が高いお母さん方だなと思ったのですが…。
井上先生:
この園を選ぶ理由は、自然環境が良く、
教え込むのではなく自然が自ずと語りかけてくれる環境であること、
子どもが四季の移ろいを感じながら伸び伸びと過ごせることが上位を占めています。
今、敢えてこういう挑戦する遊具ができてよかったと思います。
うちの園のお母さん達は汚れても全然文句を言わないんです。
家に帰って園服の中に砂や泥がどれだけ溜まっているかを見て、
家の子が自分の家以外でも自分を出して遊び込めている場所があるんだ、
砂が増えれば増えるほど、園で自分の過ごす時間があるんだ、
と思うから、園服を洗うことが楽しみと言って下さる方もいます。
-大学附属幼稚園という特性はあるのですか?
井上先生:
大学敷地内にあるため、安全な環境で
自然豊かな敷地を利用できるので、
幼稚園から出て、木の実を拾ったり、梅を拾って梅干をつけたり、
たくさんの虫と触れ合ったりしています。
また年齢を超えた交流があり、
子ども達はいろいろな人と関わり合いをもっています。
大学生がビオトープを作って下さったり、
中高の先生からもらった花の苗木を
子ども達で育てて花を咲かせてプレゼントしたり…。
大学附属というより総合学園としての意味合いが強いかもしれません。
園では幅広い年齢層との交流に加え、
子ども達同士や自然との交流も大事にしています。
園の教育理念と一致した遊具や水遊び場も加わり、
子ども達は一層豊かに育まれることでしょう。
配置計画図: ガチャポンプ、水流れ、砂場等





